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いなかの猫の天邪鬼部屋

第8話

OnAir~シーズン3・第8話~


#ギョンミンとヨンウンのアパート、部屋の中、朝

(ギョンミン、ベッドに起きて座っている。ヨンウン、入って来る。)

ヨンウン : 起きたの?

ギョンミン : (伸びをする)ウ~~~~~~~~ 全身が壊れそうだ。

ヨンウン : (ベッドに腰掛ける) 無理するからよ。

ギョンミン : (苦笑) チン代表は俺を殺そうとしているんだ...

ヨンウン : (荒唐な。苦笑) ....本当に何かあったんじゃないかしら?チン代表...

ギョンミン : 分からない...自分の話はあまりしない人だから...

ヨンウン : .... (立ち上がる) 早く起きて。遅くなるわ。行く時私をちょっと乗せてって。

ギョンミン : どこに行くんだ?

ヨンウン : (クローゼットを開けて)うん、仕事部屋。

ギョンミン : (見る) どうして?

ヨンウン : (ギョンミンのシャツを選んで) やる事があるの。家では集中出来ないから...

ギョンミン : (ベッドから降りる) しばらく仕事しない事にしたじゃないか。

ヨンウン : (頭を回して見る) 大きい仕事じゃないわ。小さな仕事。でも重要な仕事。

ギョンミン : (ヨンウンを振り向かせて肩を掴む) 絶対しないとならないのか?今絶対に。

ヨンウン : (ギョンミンの目を見る).... ええ。今しないとならないの。心配しないで。長く掛かる事でもないし...これをやらないと一生後悔すると思うわ。

ギョンミン : ...一体何だい?

ヨンウン : (暖かい目) 後で言ってあげる。...あなたにとっても重要な仕事なの。

ギョンミン : (目を瞬かせる)...(ため息) 分かったよ。ただし、無理するなよ。

ヨンウン : (笑う) 無理する事でもないわ。ご心配なく。

ギョンミン : (微笑む。ヨンウンを抱いてお腹に触れる) ウ~ 近付くにはあまりにも遠いあなた..

ヨンウン : (笑ってギョンミンの顎にキス) 早く顔を洗って来て。


#サンウ事務室

(椅子に座ったまま眠ったサンウ。日差しに目覚める。体を伸ばす。ジージー言う画面を見て立ち上がってスイッチを消す。風呂場に向う...)


#セアのアパート、午前

(セア、アパートを見回す。髪を縛る。窓枠をはずし、くまなく掃除する。布団を洗濯する....)


#ヨンウンの仕事部屋

(ヨンウン、ギョンミンの原稿を読み直す。しばらく考え込む。机の上のギョンミンの写真を見て、顎を支えて考える...)


#ドラマ局

(後半期企画会議中)

カン局長 : 作品が残っている者は上手く仕上げること。前半期に終わった者は一幕物を主として企画案を一つずつ提出するように!

ノPD : (ポツリとこぼす) 今時短編を誰が見るんだ...

カン局長 : (見る) 何だ?発言は大きい声でしろ。

ノPD : (様子をうかがって口をつぐむ)....

カン局長 : 夏のもの、秋のもの...とにかく季節別に均一に出るようにお互い調律して。短編は視聴率も低く時間帯も不利だが、主題をきちんと盛るには長い話より集中度が高くてずっと有利だ。そんな点から短編をまた復活させる事にした。新人作家の登竜門にもなる。

ギョンミン : 編成の割合は?

カン局長 : 本編成は秋改編で反映されると思うが、多分多ければ一週間に一編くらいにはなると思う。その前に、夏に試しに一編やってみて...

ギョンミン : ....


#PD室

(自分の席に戻って来るPDたち。)

ノPD : 今頃何が短編だ?カネにもならないものを...結局うやむやになるんじゃないか?

イPD : 我々はやっかいなだけだけど...これが編成されたら打ち切られる番組もあるじゃないか。

ノPD : 11時以降の放送だろうから、いずれにしろ地方は自体放送だし...

ギョンミン : .....

ノPD : (ギョンミンに) おい、お前はどうして何も言わないんだ?

ギョンミン : (見る) 何か言う事がありますか?

ノPD : もっとも...お前は俺達と違って真面目子だから常に最善を尽くすんだろ?

ギョンミン : (苦笑) 真面目子とはまた....


#セアのアパート、午後

(机に座ってノートPCを見るセア。ホームページの中のギョンミンの写真を見る。深く息を吸い、楽な淡い微笑み。しばらく見てからホームページ閉める。電話を手に取る。)

セア : うん、私...夕方、うちに来ない?......いいえ、だだ一緒に食事したいと思って.... パスタを作ってあげる....うん。分かったの。

(電話を切って窓枠を片付けた明るい窓の外を眺める....)


#サンウ事務室

(ソファ-に並んで座った女学生たち。サンウ、近付いて座る。)

サンウ : (一人ずつ見る) 3人とも演技者になりたいと...?

女学生1 : はい。前は歌手になるのが夢でしたが...演技者もいいです。

女学生2 : 私は演技者です。オ・スンア先輩のようになるのが私の夢です。

女学生3 : (肘で女学生2をそっと突く) 私はチェリー先輩のようになりたいです。とても素敵です。

サンウ : (頭を下げて苦笑) ...(見る) 演技学院ような所に通ってみましたか?

女学生3 : 私は去年3ヶ月通いました。

サンウ : そうですか。どうでしたか?

女学生3 : どこそこが良い、という話を随分聞いたんです。...ところがその学院が潰れて..

サンウ : ....(ため息)...(学生2に) 成績はどの位?

女学生2 : (慌てる) 成...成績ですか?出来なくはないです.... 中間です。

女学生1 : (横目で見てクスクス笑う))...

サンウ : 君たちはまだ未成年だから具体的に話す事は出来ないが、ここの仕事が全てまったく同じだと思われたら困る。どんなコンセプトを取るのかによって念を入れる部分が変わるから。...(学生2に) オ・スンアのようになりたいと言ったのだろう?

女学生2 : (もじもじと)...はい..

サンウ : オ・スンアは演技は出来なくても頭の中に入っているものは多かった。初演技でもスターの片鱗を見せる事が出来たのは、自分なりの路線が明らかだったからで.. それは企画社で訓練させる事も出来るが、結局は自分の力で得ないとならないものだ。(三名を振り返って) 演技者になるための授業は学校の授業よりもっと多くの努力を要する。眠れる、食べられず、泣いてもいけないし、休んでもいけない。

女学生たち : ....

サンウ : 一度入って来れば契約に縛られて身動き出来ない場所がここだ。新人は最小3年契約を原則にするが、3年以内に光が見えなければ次の契約はない。3年間虚しい苦労をする事になる。

女学生たち : (憂わしい目つき交換)..

サンウ : どういう意味か分かるか?ひょっとすると君たちの黄金のような3年が、道に捨てられるガム位にしかならないという事だよ。

女学生たち: (頭を下げる)....

サンウ : 帰って、もう一度考えてみてから来なさい。 契約はその時しても遅くない。

(女学生たち、もじもじとして立ち上がり、挨拶して出る。)

サンウ : (閉まったドアを見る) ....(苦笑して窓の外を見る) ...

(ドアを開けてチェリーが入って来る。)

チェリー : オッパ。あの子たちは何?ここに来るの?

サンウ : (見る) うるさいぞ。声をちょっと低くしろ。

チェリー : (ソファ-にどさりと座る) まだ幼い子たちだけど、受け入れてあげるの?

サンウ : (眉ひそめしかめる) お前は大きくなってから始めたのか?

チェリー : (視線を飛ばす) .... 私は...チャン代表は未成年者は受け入れないって ....

サンウ : それで?

チェリー : (苦笑) その時は純粋だったから、そうだと思って二十歳なるまで待ったのよ。(やや苦い)...

サンウ : (チェリー見る) ....それで...? その時間が惜しい?

チェリー : (見る) え?....いいえ.. (小さくため息) ...その時は本当に純粋だったから...

サンウ : (視線を定め、考え込む)....

チェリー : (見る) あの子たちを受け入れるつもりなの?

サンウ : (横目で見る) 俺はチャン・キジュンじゃないんだ。

チェリー : (口をつぐんで見る)....


#セアのアパート、夕方

(食卓に座って食事中のセアと友達ユミ)

ユミ : あなたが作ったパスタ...本当に久しぶりだわ。...どうしたの?

セア : (笑う) 寂しくて...

ユミ : え?

セア : 一人で食べたくなかったの。

ユミ : しばらく鼻すら見せなかったのに。...何かあったの?

セア : (黙って笑う)....

ユミ : (注意深く見て) あなた...振られたの?

セア : (見る).....(苦笑) どうして分かったの?

ユミ : (驚く) ホントに?鎌をかけただけなのに...

セア : (呆れて)まあ....。とにかく食べましょう。

(居間の床に座ったセアとユミ。ワイングラスを持っている。)

ユミ : 話してみて。誰なの?

セア : (息を吸い込んで) 所帯持ちの男。

ユミ : え?......(声を低めて) どこまで行ったの?

セア : (荒唐な、見る) 私、今他人の事を話してる?自分の話なのよ。行くってどこに行くの?

ユミ : (しまったと思い、すまなそうに) あ...そうね...ごめん...

セア : 行くとか行かないとか、そんな事はなかったわ。片思いだから...

ユミ : 片思い?天下のユン・セアが?

セア : 天下のユン・セアに、振られたのかと聞いた人は誰?

ユミ : そうね...(見て、嬉しがる) あー、私、生き甲斐と楽しみを感じるわ。

セア : (見る) え?

ユミ : 神は公平だった。今日から私はそれを信じる事にしたわ。

セア : (情けない) もう...こんなあなたを友達と呼ぶ自分が情けないわ...

ユミ : (笑う) ....話してみて。どんな人なの?ここまで話したという事は、もう話せるだけ大丈夫になったという事なんじゃない?

セア : (グラスを見て) ...分からない...どれだけ大丈夫になったのか...。まだふっ切るには彼の存在があまりにも大きいようにも思うし..

ユミ : 気になるわ。どんな人なのか...。どんな人がユン・セアをこんなに(見る) .... 傷付けるのか...

セア : カッコいい人。...(思いながら微笑む) 見ていれば震えるし、見ていなければ浮び上がって、私の中にいっぱいになって、私をどきどきさせる人。...私を微笑ませる人。...私を...(こみ上げて来る。涙を溜める).... 泣かせる人...(涙が落ちる。頭を回す)...

ユミ : (慌てる) あなた.....

(セア、頭を回したまま泣いている。ユミ、じいんと熱くなる...)


#ヨンウンの仕事部屋、夕方

(ギョンミン、入って来る。机に座ったヨンウン、振り返る。)

ギョンミン : ワッ!さあ、帰ろうよ。(机に手をつく)

ヨンウン : (笑う) いい事でもあったの?

ギョンミン : (見る) いや。一日中君の事を考えていたから、顔を見たら嬉しくて。(微笑む)

ヨンウン : (笑い滲む) フフフ。ね、ちょっと座ってて。

ギョンミン : どうして?まだ仕事が残ってるのか?大きい仕事じゃないと言ったじゃないか。

ヨンウン : ええ。でもね...身に覚えがないかしら?

ギョンミン : 何だ?俺、何かしたか?

ヨンウン : (いたずらっ気発動) したの?

ギョンミン : (眉間をしかめて考える) うーん.... 分からないよ...

ヨンウン : (キッチンに行く) 5分あげるから考えてみて。

ギョンミン : (見る) ....何なんだ?

ヨンウン : 実は何か問題を起こしたんじゃない?

ギョンミン : そんな事はないよ。

ヨンウン : 私に相談もしないで大変な事をしでかして、今になってとぼけるつもり?

ギョンミン : (荒唐な) 俺が何を?

ヨンウン : (缶ビール持って来る) さあ?

ギョンミン : (受ける) 飲むのか?

ヨンウン : 私のじゃなくてあなたのよ。 私はこれ。(ジュースのコップを持つ)

ギョンミン : (ソファ-に座る) だけど俺、本当に分からないよ。何なんだ?

ヨンウン : (ギョンミンの横に座る) ....

ギョンミン : (見る) うん?何だ?

ヨンウン : (見る)....

ギョンミン : (憂わしい).....?

ヨンウン : ........(黙って、見て、ギョンミンにキス) .... (じいんとする) ...ありがとう..

ギョンミン : (怪しげな) 何が...?

ヨンウン : ...(立ち上がって机から原稿を持って来る。ギョンミンに渡す) ...これ。

ギョンミン : ....(原稿を受ける、ヨンウンを見る)....(口をつぐむ)

ヨンウン : .....(後からギョンミンの首を抱く。胸がいっぱいになる。) ありがとう...ありがとう...(声が震える)...ありがとう...

ギョンミン : (首が苦しい) ...(ヨンウンを引き寄せて座らせ、眺める) .... (しっとり濡れた目、微笑滲む)

ヨンウン : (涙を浮かべたままギョンミンを眺める) .... ありがとう....






(原作出処:sonkhj1116さんのブログ



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